ビカクシダ…。
それは植物の形をした真理である。
ビカクシダを育てし者は、真理に最も近い賢者と言えよう。
賢者見習いの皆さん、こんにちは。
冒頭から訳わからない文章を書いてしまい失礼しました。
それくらいビカクシダっていうのは素晴らしいんです。
この記事では、実際にビカクシダを育てている筆者が「ちょっと最近ビカクシダ気になってるんだよな~」っていう方に向けて、下記を解説していきます。
- ビカクシダってどんな植物?
- ビカクシダの種類
- 初心者におすすめのビカクシダ5選
- 最初に揃えたいビカクシダお世話アイテム
- ビカクシダの板付のやり方
- ビカクシダに適した置き場所
- ビカクシダの育て方
この記事を読めば、これからビカクシダを育ててみたい初心者の方に必要なほぼ全ての知識が手に入りますので(多分)、ぜひ最後までお付き合いください。
このサイト(みどりのグリーン)は100株以上の植物と暮らすデザイナーが運営しています。
記事内の写真も筆者が撮影したものなので、あわせてお楽しみください!
ビカクシダとは?
ビカクシダは「貯水葉」と「胞子葉」という2種類の特徴的な葉っぱを出す植物です。
※貯水葉は「外套葉(がいとうよう)」とも呼ばれます
- 貯水葉:根っこを守るように映える葉っぱ
- 胞子葉:貯水葉からぴょーんと飛び出すように生える葉っぱ
2014年頃から急速に栽培をする人が増え、最近ではマニア向け植物として熱狂的な人気があります。
安いものでは1000円程度で変えるものもありますが、マニア向けの高級品種では数十万円~100万円以上することも。
100万円のビカクシダ、ホシイ…。
また、ビカクシダはその名の通り「シダ植物」なので、種ではなく胞子で増えるのも特徴です。
胞子葉が成長すると、先端に胞子嚢(ほうしのう)ができ、その中に胞子が作られます。
胞子を蒔いてしばらくすると芽が出ます!
ビカクシダの種類
ビカクシダは大きく分けると、原種と園芸品種があります。
- 原種:現地で自生しているのと同じ種類
- 園芸品種:原種同士をかけ合わせたり、特徴のある個体を選抜したりして園芸用に改良した種類
原種は「種」、園芸品種や交配種は「品種」とも言われます。
原種
ビカクシダの原種は下記の18種類です。
- ビフルカツム
- ヒリー
- ヴィーチー(ベイチー)
- スパーバム(スーパーバム)
- ウィリンキー
- コロナリウム
- グランデ
- ホルタミー
- ワンダエ
- ワリチー(ウォーリッチー)
- リドレイ
- アルキコルネ(アルシコルネ)
- マダガスカリエンセ
- クアドリディコトマム
- ステマリア
- エリシー
- アンゴレンセ(旧エレファントティス)
- アンディナム
原種は自生地で特徴が変わります。
エリア | 原種 | 特徴 |
---|---|---|
アフリカ・マダガスカル系 | アルシコルネ アンゴレンセ エリシー クアドリディコトマム ステマリア マダガスカリエンセ | 日光を好むものが多く、ある程度しっかり光に当ててあげるときれいに育つ。 |
東南アジア系 | ウィリンキー ワリチー グランデ コロナリウム ホルタミー リドレイ ワンダエ | 温かい東南アジアに自生しているため、暑さには強いが、寒さには弱い。 ただ、蒸れには弱いので真夏は風通しに気をつける。 |
オセアニア系 | ヴィーチー スパーバム ビフルカツム ヒリー | 寒さや乾燥に強いものが多いため、初心者でも育てやすい。 |
南米系 | アンディナム | アンディナムのみ。 標高が高い場所に自生しているので、暑さや蒸れに弱い。 |
園芸品種
園芸品種には「交雑によってできた品種」や「選抜によってできた品種」などがあります。
- 交雑:異なる原種や園芸品種をかけ合わせること
- 選抜:原種や園芸品種の中で優れた特徴を持った個体を選抜すること
- ネザーランド(ビフルカツムの選抜品種)
- キッチャクード(コロナリウム×リドレイ)
- エレマリア(エレファントティス×ステマリア)
- カイゲン(ビフルカツム×ウィリンキー)
- ドラゴン(ヒリーの選抜品種)
- マジュス(ビフルカツムの選抜品種)
- メラメラ(マジュスが突然変異した品種)
※他にもたくさんあります
交雑でできた品種は「混ぜたらできる」というわけではなく、混ぜる前後の個体を選抜している点もまた奥深いですよ…
ビカクシダの選び方
ビカクシダを選ぶときは下記のポイントをチェックしましょう!
- 見た目:好みの見た目か
- 耐寒性:どの程度の寒さまで耐えられるか
- 耐暑性:どの程度の暑さまで耐えられるか
- 将来的な大きさ:どのくらいの大きさまで成長するか
- 増え方:胞子のみで増えるのか、子株でも増えるのか
基本的には見た目で選んでOKなんですが、寒さに弱い品種や、2m以上に成長する大型種もあるので、ご自宅の環境と相談して選びましょう。
また、「増え方」部分に書いてある「子株」というのは、親株から分かれて出てくる株のことで、これを切り分けると別個体として増やすことが出来ます。
手に入れやすい種類の特徴を表にまとめてみましたので、参考にしてみてください。
耐寒 | 耐暑 | 大きさ | 増え方 | |
---|---|---|---|---|
ビフルカツム | 0℃ | 35℃ | 中 | 子株・胞子 |
ネザーランド | 0℃ | 35℃ | 中 | 子株・胞子 |
ヴィーチー | 5℃ | 30℃ | 小 | 子株・胞子 |
ウィリンキー | 10℃ | 32℃ | 中 | 子株・胞子 |
スパーバム | 5℃ | 32℃ | 大 | 胞子 |
グランデ | 12℃ | 32℃ | 大 | 胞子 |
リドレイ | 12℃ | 30℃ | 中 | 胞子 |
ステマリア | 12℃ | 32℃ | 中 | 子株・胞子 |
エレファントティス | 10℃ | 32℃ | 大 | 子株・胞子 |
アルシコルネ | 8℃ | 35℃ | 大 | 子株・胞子 |
コロナリウム | 12℃ | 35℃ | 大 | 子株・胞子 |
ヒリー | 5℃ | 32℃ | 中 | 子株・胞子 |
ウィリンキー | 10℃ | 32℃ | 中 | 子株・胞子 |
マダガスカリエンセ | 12℃ | 30℃ | 小 | 子株・胞子 |
初心者におすすめのビカクシダ5選
どれがいいかわからない人向けに、初心者でも育てやすい種類を5つ選んでみました。
- ビフルカツム
- スパーバム
- ビーチー(ヴィーチー、ベイチー)
- アルキコルネ(アルシコルネ)
- ステマリア
実際に我が家で育てているビカクシダの写真付きで紹介していきます!
ビフルカツム
耐寒性 | 0℃ |
---|---|
耐暑性 | 35℃ |
将来的な大きさ | 中型 |
増え方 | 子株・胞子 |
ビフルカツムはめちゃくちゃ育てやすく、入手も簡単な種です。
おそらく園芸店で売っているビカクシダのほとんどはビフルカツムというくらい普及しています。
ちなみにネザーランドもビフルカツムから出来た園芸品種です。
寒さ・暑さ・乾燥全てに強く、初心者でも簡単に育てられると思います。
価格も安いので、迷ったらビフルカツムがおすすめです。
スパーバム
耐寒 | 5℃ |
---|---|
耐暑 | 32℃ |
将来的な大きさ | 大型 |
増え方 | 胞子 |
大きめなビカクシダを探しているならスパーバムがおすすめです。
価格もそこまで高くなく、そこそこ普及しているため、園芸店など手に入れやすいと思います。
かなり丈夫で、育てる難易度もそこまで高くありません。
我が家のスパーバムは形を整えるために葉っぱをかなり切ったんですが、普通に復活しました。
ある程度大きくなるまではずっと貯水葉が出続け、大きくなってから胞子葉が出るのも特徴です。
ビーチー(ヴィーチー、ベイチー)
耐寒 | 5℃ |
---|---|
耐暑 | 30℃ |
将来的な大きさ | 小型 |
増え方 | 子株・胞子 |
ヴィーチーは白っぽい見た目が可愛い、原種のビカクシダです。
暑さくなってくる成長が止まり、秋頃になると葉っぱが出始めます。
そこまで大きくならず、コンパクトに育ってくれるので、そこまで大きくないお部屋でも育てやすいです。
アルキコルネ(アルシコルネ)
耐寒 | 8℃ |
---|---|
耐暑 | 35℃ |
将来的な大きさ | 大型 |
増え方 | 子株・胞子 |
アルシコルネは枯れた貯水葉が特徴の原種ビカクシダです。
うちの子はまだ小さいので、枯れた貯水葉の写真がありませんでした…。
貯水葉が枯れるとツヤっとした飴色になるので、昔から日本では「照葉(てりば)」と呼ばれてきたんだとか。
丈夫で育てやすいため、植物初心者の方にもおすすめです。
ステマリア
耐寒 | 12℃ |
---|---|
耐暑 | 32℃ |
将来的な大きさ | 中型 |
増え方 | 子株・胞子 |
太めの胞子葉が特徴のステマリア。
小さい株のときは胞子葉も小さいですが、ある程度成長すると一気に大きな胞子葉が出てきます。
肥料をあげると、かなり肉厚な胞子葉になるので、定期的に施肥してあげましょう。
最初に揃えたいビカクシダお世話アイテム
植物を買ったら、ついでに植物アイテムも揃えましょう!
- 霧吹き
- 肥料・活力剤
- 剪定ばさみ
これらは長く育てるなら確実に必要になります。
他の観葉植物でも必要になるアイテムなので、他の植物も育てるつもりなら買っておいて損はありません。
逆に言えば、他の観葉植物で使っているお世話アイテムがあるなら、新しく買わなくてもOKです!
あと、下記のアイテムも必要に応じて揃えましょう。
- 温度計・湿度計
- サーキュレーター
- 植物育成ライト
- 板
- 水苔
- テグス
- 針金
我が家で愛用しているビカクシダアイテムはこちら!
ビカクシダの板付のやり方
ビカクシダの板付方法を超ざっくり解説します!
前日に水苔を水で戻しておきましょう。
ジップロックなどに少なめの水と一緒に入れて一晩置くと、ふんわりと戻るのでおすすめです。
ビカクシダを鉢から抜いて、根っこをほぐしていきます。
水で戻した水苔を板の着生させたい部分に盛っていきます。
真ん中は根っこが入るように窪ませておきましょう。
根っこを窪みに入れて、水苔で包んでいきます。
このとき、ビカクシダの成長点(葉っぱが生えてくる部分)の上下に気をつけてください。
成長点が上を向くように固定するのがベストです!
続いて、テグスを巻いて水苔を固定していきます。
巻くときは下の画像のような感じで、株を挟んでいくようにすると上手くいきやすいです。
必要であれば、巻きながら水苔を追加しましょう。
テグスを巻く際は、貯水葉を巻き込んでも大丈夫ですが(むしろ固定するために巻き込む場合が多い)、成長点は傷つけないように注意してください。
15~20巻きくらいで固定できるとベストですが、初心者は何回でも巻いてOKです。
最後に必要であれば紐や針金を通して完成です。
詳しい解説
ビカクシダに適した置き場所
ビカクシダをお家に迎えたら、適した場所に置きましょう。
ビカクシダは下記のような環境が適しています。
- 光:明るい日陰くらいの光量の場所
- 風通し:そよ風が通るくらいの場所
- 温度:最低温度が10℃を下回らないくらいの場所
- 湿度:50~60%を下回らないくらいの場所
室内で育てる場合は、植物育成ライトやサーキュレーターを設置するのもおすすめです。
我が家で愛用中の植物育成ライト
我が家で愛用中のサーキュレーター
ビカクシダの育て方
置き場所を決めたら、あとは以下のお世話を繰り返していくだけです。
- 水やり:春~秋は水苔の表面が乾いたらたっぷりと。冬は水苔の奥まで乾いたらたっぷりと。
- 葉水:霧吹きでビカクシダを湿らせる。特に成長点付近は念入りに。
- 肥料・活力剤をあげる:生育期(春~秋)に週1回くらい。真夏は避ける。
- 水苔の継ぎ足し:1~3年に1度、水苔を継ぎ足す。
- 子株取り:5月~10月に増えすぎた子株を取る。真夏は避ける。
水やりは1年中継続しますが、それ以外のお世話は生育期(4~7月、9月~10月)のみです。
ただ、寒さに弱い種類は春先や秋の終わり頃でも休眠している可能性もあるので、注意しましょう。
新葉が動いているのであれば生育期と判断して大丈夫です!
詳しい育て方はこちら
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ということで、この記事ではビカクシダについて解説してきました。
見返したい部分がある方は以下の目次でお戻りください!
今回は以上となります。
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