「肥料のことが知りたい!!けど調べるほど訳わからなくなってくるよ~~~!!」とお困りの皆さん、私が救世主です。
この記事では観葉植物に関する肥料の基礎知識を初心者の方向けにまとめました!
肥料の成分、種類、季節ごとの使い方や「活力剤と肥料って何が違うの?」「肥料を与え過ぎたらどうすればいい?」というよくある疑問なども解説していきます。
肥料に関する大体の基礎知識は網羅してあるので、この記事さえ読めばあなたも肥料マスターになれるはず。
どこのページかわからなくなってしまう前にぜひブックマークもしておいてくださいね~!
このサイト(みどりのグリーン)は100株以上の植物と暮らすデザイナーが運営しています。
記事内の写真も我が家で撮影したものなので、あわせてお楽しみください!
肥料に含まれる三大要素
まず肥料の成分から簡単に解説していきます!
植物の生育には欠かせない三大要素があり、それを補給するのが肥料の大きな役割です。
- 窒素(N)
- リン酸(P)
- カリウム(K)
ここではそれぞれの成分の効果と、不足・過剰の症状について簡単に解説していきます。
窒素(N)
窒素は別名「葉肥(はごえ)」と呼ばれていて、葉や茎を大きくする効果があります。
- 不足:葉が小さくなったり葉の色が薄くなったりする。
- 過剰:葉や枝が徒長する。葉は大きくなるが薄くなり、病害虫や環境変化に弱くなる。
「チッソ」や「チッ素」とも表記されます。
リン酸(P)
リン酸は別名「実肥(みごえ)」や「花肥(はなごえ)」と呼ばれていて、開花や結実に効果があります。
- 不足:花が減ったり、開花や結実が遅れたりする。
- 過剰:そこまで過剰症は出ない。極端な過剰だと生育不良になる。
リン酸は過剰症の心配がそこまでないので、多めに与えても大丈夫です。
ハイポネックスやマグァンプKなど、有名な肥料はリン酸が多めです。
カリウム(K)
カリウムは別名「根肥(ねごえ)」と呼ばれていて、根の生育を促進する効果があります。
根が丈夫になると寒さに強くなる効果もあるので、冬場あまり温度が確保できない環境の場合は、春~秋の間に積極的に与えたい成分です。
- 不足:根腐れや病気が起きやすくなる。また、葉先が黄色くなったり、枯れたりする(根と葉は連動しているため)。
- 過剰:そこまで過剰症は出ない。極端な過剰だとカルシウムやマグネシウムの吸収が阻害される。
「カリ」や「加里」と表記される場合もあります。
肥料の三大要素の覚え方
三大要素は重要なのでぜひ覚えてほしいんですが、ぶっちゃけ覚えにくいですよね…!!!
私も暗記がめっちゃ苦手で、日本史は墾田永年私財法しか覚えていません。
なので、一瞬で覚えられるように最強の語呂合わせを考えました。
これさえ覚えればそれぞれの成分が何に効くかがすぐに覚えられます。
それがこちら!
千葉でリンさんに花見の場所借りるね。
以下のように対応します。
- 千葉:窒素(葉)
- リンさんに花見:リン酸(花・実)
- 借りるね:カリウム(根)
ぜひこの語呂合わせ活用してくださいね~!!
肥料と活力剤の違い
ホームセンターや園芸店には肥料の近くに活力剤が置いてあることも多いので、肥料と活力剤の違いも一応解説していきます!
(上の画像の「リキダス」は活力剤でたぶん1番有名)
肥料と活力剤の違いは内容成分によって分けられています。
- 肥料:窒素・リン酸・カリウムが規定量以上含まれている。
- 活力剤:上記の三大要素が規定量より少ない。
じゃあ活力剤は意味がないのかというと、そうではありません。
三大要素以外にも植物の生育に必要な栄養があり、活力剤はそういった成分を与えることができます。
- カルシウム
- マグネシウム(苦土)
- 硫黄
など
よく、「人間で言うと肥料は食事、活力剤はサプリメント」と例えられます。
サプリメントだけで生きていけないのと同じように、肥料と活力剤はバランスよく与えることが大切。
ただ、植物の元気がないときは肥料が吸収できず、逆に肥料焼けを起こしてしまうことが多いので、活力剤を与えるのがベターです。
肥料の種類
次に肥料の種類を解説していきたいんですが、種類といってもいろんな切り口があります。
人間でいうなら「年齢」「性別」「住んでいる地域」「職業」みたいな切り口がある感じ。
なので、ここでは下の5つの方法で分類し、解説していきます。
- 「肥料の原材料」で分類
- 「三大要素」で分類
- 「肥料の効き方」で分類
- 「肥料の形状」で分類
- 「溶け方」で分類
「肥料の原材料」で分類
肥料の原材料で分類する場合、下記の2種類に分けられます。
- 有機肥料
- 化成肥料(無機肥料)
有機肥料
有機肥料は、油かすや牛ふん、鶏ふんなどの動植物由来の有機物から作られる肥料です。
微生物が肥料を分解してから植物が吸収するので、ゆっくりと効いていきます。
ただ、有機肥料は虫が発生しやすかったり、においがきつかったりするので、観葉植物にはそこまで使われません。
もちろん使ってもOKです!
化成肥料(無機肥料)
化成肥料(無機肥料)は鉱物などの無機物から作られる肥料です。
三大栄養素以外のミネラル成分も含まれているものがたくさんあり、速効性にも優れています。
においが少なく、虫も発生しにくいので、観葉植物は基本的に化成肥料を使う方が多いです。
「三大要素」で分類
肥料の容器や袋には肥料の三大要素(窒素・リン酸・カリウム)のバランスが「10-10-10」や「6-10-5」のように表記されています。
(下の画像のような感じ)
このバランスによって下記の5種類に分けられるので、それぞれの特徴を簡単に解説していきます。
- 水平形
- 山型
- 谷型
- 下り型
- 上り型
水平型
「10-10-10」「12-12-12」といったように、三大要素の割合が同じ肥料です。
どの成分も同じ量だけ入っているので、どれがいいのか迷ったら水平形をおすすめします。
その後、植物の様子を見ながら不足していそうな成分が多く含まれる肥料を与えればOKです!
山型
「5-10-5」といったように、リン酸が多く含まれている肥料です。
お花や実を楽しみたい方は山型の肥料を選んでみましょう。
谷型
「10-5-10」といったように、リン酸が少ない肥料を指します。
リン酸が過剰な場合に、他の栄養素を与えるための追肥(後で追加する肥料)として使う場合が多いです。
下り型
「10-5-5」といったように、窒素が多く含まれている肥料です。
早く育てたい、葉っぱをデカくしたいという方におすすめします。
上り型
「5-5-10」といったように、カリウムが多く含まれている肥料です。
根や株を引き締めたい、ガッチリさせたい、寒さに強くさせたいという方は上り型を選んでみてください。
「肥料の効き方」で分類
肥料の効き方(効くスピード)で分類すると、下記の3つに分けられます。
- 速効性肥料
- 遅効性肥料
- 緩効性肥料
速効性肥料
速効性肥料はあげた後すぐに吸収されるのが特徴です。
水に溶ける性質があり、水やりのたびに流れ出ていくので、肥料の持続期間は1週間前後が目安となります。
緩効性肥料
緩効性肥料はあげた後から少しずつ溶け出して長期間効いていくのが特徴です。
下記2種類があります。
- 表面を樹脂でコーティングしているタイプ
- 溶けるタイミングが異なる原料を混ぜているタイプ
コーティングタイプは夏場に温度が上がると、想定より早く溶けて肥料焼けしてしまうことがあるのでご注意ください。
後者は三大要素(窒素、リン酸、カリウム)がそれぞれ長期間効いていく肥料と、特定成分だけが長期間効いていく肥料があります。
遅効性肥料
遅効性肥料は、あげてもすぐ効果が出ず、その後ゆっくり効いていくのが特徴です。
こちらも下記2種類があります。
- 微生物などに分解されてから植物に吸収されるタイプ(有機肥料)
- 溶けにくい成分を使っているタイプ
有機肥料は微生物の栄養源として窒素が使われるので、保証成分よりも窒素の効き目が少なくなってしまうことがあります…
「肥料の形状」で分類
肥料の形状で分類すると下記の2種類に分かれます。
- 固形肥料
- 液体肥料(液肥)
固形肥料
固形タイプの肥料で、ゆっくりと効いていく「緩効性肥料」や「遅効性肥料」が多いです。
土に混ぜるか、土の上に置くかの2種類の使い方があります。
あとで説明しますが、土の上に置いても溶けない固形肥料もあります。
液体肥料(液肥)
液状の肥料で、基本的に速効性に優れています。
主に水に薄めて水やりの要領であげることが多く、効果は長持ちしないことが多いです。
「溶け方」で分類
肥料の溶け方で分類すると下記の4種類に分かれます。
- 水溶性
- 可溶性
- ク溶性
- 不溶性
水溶性
水に溶ける性質がある肥料で、速効性に優れています。
液肥だけでなく、固形肥料にも水溶性のものがあり、その場合水やりの度に溶け出して吸収されます。
可溶性
可溶性文字通りに受け取ると水に溶けそうですが、残念ながら水では溶けません。
なんでやねん!
主に根っこから出る酸(根酸)で溶けて、比較的早く吸収されます。
土の上に置くと効果が薄いので、土に混ぜ込んで使用することがほとんどです。
(水溶性成分が含まれていて、土の表面に埋め込むような形で使う肥料もあります)
ク溶性
ク溶性の「ク」は「クエン酸」の「ク」です。
ひらがなで「く溶性」とも表記されます。
(下の画像参照)
2%のクエン酸液で溶ける肥料で、可溶性よりもゆっくりと溶けていきます。
こちらも可溶性肥料と同じく、土の上に置くと効果が薄いので、土に混ぜ込んで使用する場合が多いです。
不溶性
酸でも溶けず、微生物に分解されるなどして吸収される肥料で、土に混ぜ込んで使用することがほとんど。
基本的に有機肥料ですが、化成肥料(無機肥料)でも不溶性のものが一部あります。
肥料のあげ方
続いて肥料の与え方を下の3種類に分けて解説していきます!
- 元肥
- 追肥
- 葉面散布
元肥(もとひ・もとごえ)
植物を植えるときにあらかじめ土に混ぜておく与え方です。
緩効性や遅効性の肥料を使用します。
- 土全体に混ぜ込む
- 鉢の底の方に埋め込む
根っこは肥料を探して伸びるので、後者の場合が根の伸びが良くなります。
ちなみに、元肥がもとから混ぜ込んである土が販売されているので、面倒な場合はそういった土を買ってみてください。
ただ、植え替え時に根っこをたくさん剪定した場合は、いきなり肥料を与えると根っこが傷んで枯れてしまう場合があるので注意が必要です。
うちでは2種類の土を使い分けています!
- 根っこを切らなかった場合:プロトリーフ「室内向け観葉・多肉の土」(元肥入り)
- 根っこをたくさん剪定した場合:BANKS Collection「best soil mix」(肥料成分なし)
追肥(ついひ・おいごえ)
追肥はすでに植えてある植物に肥料を与えることを指します。
室内に置く観葉植物の場合、下記どちらかの方法で与えるのが基本です。
- 置き肥(固形肥料を土の上に置く)
- 液肥(液体の肥料を土にかける)
地植えの植物の場合は「穴肥(穴を掘ってそこに肥料を入れる)」「溝肥(溝を掘って肥料を入れる)」などの与え方もあります。
また、追肥には速効性か緩効性肥料のどちらかを使うことが多いです。
- 緩効性を使う場合:元肥の成分がなくなっているときに、固形肥料を置き肥として与えることが多い。
- 速効性を使う場合:春~秋の生育期に、元肥や置き肥で不足している栄養分を補う目的で液肥を与えることが多い。
緩効性の肥料を置き肥として使う場合は、株の近くに置くことはNGです。
(肥料が濃すぎて傷んでしまう可能性があります)
基本的に鉢の縁に起き、複数を置く場合は対角線上に配置しましょう。
2粒置き肥するなら、時計で言うと12時と6時の位置に置いてみてください。
葉面散布
葉面散布は薄めに作った液肥を葉水の要領で与える方法です。
実は肥料は葉っぱからも吸収できます!
根っこが弱っている状態でも葉っぱから栄養補給ができるので、まだ根が本格的に目覚める前の春先あたりで与えると効果的です。
薄める倍率は様子を見て変えますが、結構薄めにしましょう。
1000倍が規定倍率の場合、4000~5000倍くらいに薄めて与えてみてください。
ちなみに活力剤を葉面散布する方法もあります。
肥料の使用時期
3月中旬~4月くらいの休眠が少しずつ明けてくるタイミングで、週に2回くらい薄い液肥を葉面散布しましょう。
いきなり濃い液肥や置き肥を与えると植物がびっくりして形が崩れてしまったりする可能性があります。
病み上がりにいきなりハンバーガーを食べたら体調が悪くなるのと同じです…。
4月中旬あたり、新芽が動き出してきて植え替える場合は元肥を入れるか置き肥をしましょう。
植え替えで鉢選びに困っている場合は下記の記事を参考にしてみてください。
植え替えずに前年と同じ土を使う場合、肥料成分がなくなっていたら緩効性の固形肥料を追肥しましょう。
(固形肥料も持続期間がだいたい決まっているので、切れたら追加で与えてあげてください)
また本格的に生育期が始まったら、液肥を2週間に1回くらい規定倍率で与えます。
週1回ずつ「液肥→活力剤→液肥→活力剤…」といった感じで、交互に与えると元気に育てられますよ!
夏は観葉植物がバテて弱まりやすいシーズンなので、気温が25℃を超えるくらいの時期から肥料は控えめにします。
30℃を超えるくらいになってきたら、肥料は一旦ストップ。
ちなみに、夏場で弱っているときに植え替えも弱るので、秋まで待ちましょう。
エアコン24時間つけっぱなしとかだったら、肥料も植え替えも春と同じようにして大丈夫です!
樹脂コーティングの緩効性肥料を使っている場合は、夏場に温度が上がると、想定より早く溶けて肥料焼けしてしまうことがあるのでご注意ください。
あと土にぶっ刺す系の液肥(アンプルのやつ)も、濃すぎることが多いので夏は抜きましょう。
お盆明けくらいの暑さが緩まってくるタイミングで少しずつ肥料の量を戻していきます。
置き肥や元肥の効果が切れているなら追加しましょう。
気温が15℃を下回ってきたら少しずつ肥料の回数を減らして(1ヶ月に1回くらい)、冬に備えます。
基本的に冬場は肥料を与えなくてOKです。
温かい室内(最低温度15℃以上くらい)で育てている場合は、通常通り肥料を与えましょう。
新芽が出続けていれば温度が足りている証拠なので、肥料を与えて大丈夫です!
肥料に関するよくある疑問
よくある下記の疑問にお答えしていきます。
- 固形肥料と液肥の併用はしていい?
- 元肥を入れ忘れた/入れすぎてしまったら?
- 液肥を与えすぎてしまったら?
- 水を上げているのに元気がないとき、肥料をあげるべき?
固形肥料と液肥の併用はしていい?
併用して大丈夫です!
固形肥料と液肥は併用して大丈夫ですが、濃すぎて肥料焼けしてしまう場合があるので、固形肥料は規定量より少なめ(半分くらいで十分です)に与えてあげてください。
また、併用する場合は三大栄養素のバランスが違うものを使うことをおすすめします。
イメージとしては、置き肥・元肥を基本として、足りない栄養素を液肥で補う感じです。
具体的には、「窒素:リン酸:カリウム」が「100:100:100」の割合で必要な植物の場合、固形肥料が「50:70:70」だったら、液肥で「50:30:30」を補うようにするとうまく育ちます。
とはいえ、そこまで神経質になる必要はないので「固形肥料だけだと葉っぱが小さいな~」と思ったら窒素が多めの液肥を使う、みたいな感じでいいと思います!
元肥を入れ忘れた/入れすぎてしまったら?
入れ忘れたらそのままでOK。
入れすぎたら肥料を取り除きましょう。
元肥を入れ忘れたら、結構焦るかと思いますが基本的にそのままでOKです。
置き肥か液肥をしてあげましょう。
入れすぎてしまったら、肥料の粒を可能な限り取り除くか、場合によっては植え替えをしてあげてください。
液肥を与えすぎてしまったら?
水をたくさん与えましょう!
液肥は水に溶ける性質があるので、あげすぎたら水を大量に与えれば大丈夫です!
水をあげているのに元気がないとき、肥料をあげるべき?
肥料を与えない方が無難です
弱っている植物は肥料を吸収できないので、与えすぎると余計状況が悪化することが多いです。
特に水をあげているのに元気がない場合は根っこが腐っている可能性があるので、肥料を与えると復活できなくなってしまうことも……。
なので、弱っている植物には肥料は与えず、強い日差しを避けて水やりも控えめにしてあげましょう。
場合によっては活力剤(肥料ではありませんよ!)を薄めに与えてあげて様子を見るのもアリです。
楽しいグリーンライフをお送りください!
この記事では観葉植物の肥料に関する知識を網羅的に解説してきました。
全力で書いたので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ブックマークして後で読み返せるようにしておくと便利だと思います!
あとインスタグラムもやっているので、ぜひチェックしてみてください。